【革製品のお手入れ】本当は必要ない!? ~防水スプレーの必要性~

こんにちは!

たまさとです。

革製品をお手入れする時、「防水スプレー」をお使いになった事はありますか?

防水スプレーと聞くと「革にスプレー?」「染みになるのでは?」などの疑問が浮かびます。

今回は、防水スプレーの効果やお手入れに使う際の順番などをご紹介させて頂けたらと思います

防水スプレーとは?

コロニル、コロンブス、エム・モゥブレィの防水スプレー
一般的に防水スプレーと呼ばれている革製品用の防水剤は正式には撥水スプレーになります。 「撥水」と「防水」の違いは、繊維の目を塞がず水を玉状に弾くことを「撥水」、繊維の表面全体にゴム合羽のように通気性がなく衣類内に水を浸透させないことを「防水」と言います。革製品用の撥水スプレーは表面にフッ素樹脂を吹き付け、通気性を損なうことなく汚れや水などから表面を守ります。革自体の呼吸を塞いでしまわないので、表面を傷めることなく撥水効果を得られます。

撥水スプレーの種類

撥水スプレーにはシリコン系とフッ素系、両方の混合系の3種類があります。

シリコン系樹脂

メリット

  • 撥水性が高い
  • 撥水性の持続時間が長い
  • 価格が安い

デメリット

  • 蒸れやすい
  • 防汚効果が低い

フッ素系樹脂

メリット

  • 蒸れにくい
  • 防汚効果が高い(油性の汚れをはじく)

デメリット

  • 持続時間が短い
  • 価格が高い

混合系樹脂

メリット

  • 撥水効果が高い
  • 防汚効果が高い
  • 持続時間が長い

デメリット

  • 価格が高い

一般的に革製品に使う防水スプレーは、フッ素系か混合系が多いです。シリコン系はシミになりやすく、また通気性も悪くなり革が傷む原因になるのでおすすめしません。

また、革にもスムースレザー、スエード、ヌバック、ヌメ革などいろいな種類があるので、素材によって使える製品と使えない製品があるので、よく確認して選ぶのをおすすめします。

おすすめの防水スプレー

選ぶと言ってもどれを買えばいいのか迷ってしまいますよね。なので、おすすめのスプレー3種類をご紹介します。

コロニル 1909シュプリームプロテクトスプレー

コロニル 1909 シュプリームプロテクトスプレー
まずは、今回使用せていただくCollonil(コロニル) の「1909 シュプリームプロテクトスプレー」です。 1909年にドイツで誕生したレザーケアブランドで、他にも沢山のレザーケア用品を展開しています。 こちらのスプレーは、皮革への浸透性が高いシーダーウッドオイルが配合されており、防水効果だけでなく革への栄養効果もあります。スムースレザーと起毛皮革の両方に使用できるので、1本持っていれば色々な革製品のお手入れに重宝します。 
コロニル 1909シュプリームプロテクトスプレー
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Collonil(コロニル)

コロンブス アメダス

コロンブス アメダス
こちらは、以前書かせていただいた「デニム製品を使う前にする事】〜デニムの色移り予防〜」という記事で使用させて頂きました。COLOMBUS(コロンブス)は1919年創業の日本の靴クリームメーカーです。アメダスは撥水効果はもちろん防汚効果が高く、皮革繊維1本1本にフッ素系撥水・撥油剤をコーティングすることにより水分・ホコリ・ゴミ・油分等の汚れから皮革を守ってくれます。こちらもスムースレザー、起毛皮革のどちらにも使用でき、キャンバスやナイロン、デニムなどの生地製品にもお使い頂けます。
コロンブス AMEDAS 防水スプレー
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columbus(コロンブス)

エム・モゥブレィ エイジング&プロテクト

エム・モゥブレィ エイジング&プロテクト
こちらはわたしが初めて革靴を買った時に使用していたM.MOWBRAY(エム・モゥブレィ) エイジング&プロテクトという製品です。エム・モゥブレィは、1828年に創設されてから幕を閉じるまでの間、数々の名品を生み出してきた『英国王室御用達』の英国老舗シューケアブランド『メルトニアン(MELTONIAN)』のレシピをそのまま継承し2002年に誕生したブランドです。このエイジング&プロテクトはフッ素成分に加え油分をプラスすることで、撥水、防汚効果に優れた製品です。また、ラノリンやローズヒップオイルなどの成分も含まれており、繰り返し使用することで、色あせ防止効果、柔軟効果も得られます。こちらもスムースレザー、起毛皮革、生地製品にお使いいただけます。
M.MOWBRAY(エム・モゥブレィ) エイジング&プロテクト
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M.MOWBRAY

防水スプレーの効果

では、防水スプレーを使うとどんな風な効果があるのでしょうか?

ヴォーノオイル、ジーンズ、アニリン、wwジーンズのハギレ
栃木レザーの4種類のハギレで実験してみました。左から、ヴォーノオイル、ジーンズ、アニリン、ホワイトワックスジーンズの革です。こちらのハギレに水を垂らしてみて、どれくらい染みるのか、跡が残るのかを検証してみたいと思います。栃木レザーの種類はこちらの記事でご紹介しています ⇒ 【栃木レザー】自社で取り扱っている栃木レザー6種類をご紹介!

使用前

4種類のハギレに水滴を垂らしたところ
まずは防水スプレーを使用せずに、表面に水滴をちょんちょんと垂らしてみました。ヴォーノオイルは、1分もしないうちにじんわり染み込んでしまいました。ジーンズとアニリンも、少しずつ水を吸っています。ホワイトワックスは、表面にワックスが塗り込んであるので、結構水を弾いています。
水滴を垂らして30分後
30分放置して見てみました。ヴォーノオイルは水が染み込んだ形に跡になってしまっていますね。ジーンズとアニリンは、なんだか表面が浮いてきているような気泡のような感じになっています。ホワイトワックスは、水滴の跡が付いていますね。

使用後

防水スプレーを使用している様子
一つ一つ防水スプレーを吹きかけています。直後はまだら模様になりますが、乾いたら元に戻ります。
水を垂らした直後と30分分後
同じように水を垂らして30分待ちます。スプレー使用前、ヴォーノオイルは1分もしないうちに水が染みてきていましたが、今回は5分ほど経ってから染みてきました。ジーンズとアニリンは30分経ってもあんまり染みこんできていませんでした。ホワイトワックスは先程と同じでした。
使用後、乾かした後
では、水滴を拭き取ってみてみます。ヴォーノオイルには使用前のようなシミはありません。ジーンズとアニリンにも、気泡のようなものは見られません。ホワイトワックスは少しだけ水滴の跡がありますが、目立たないですね。

このように、防水スプレーの使用前と後では水滴が染み込んでいくのを防げたり、跡になるのを防げたりなど、色々な効果が期待できます。新しく革製品を購入した際は、使用する前にクリーム等と一緒に防水スプレーを使用しておくのをおすすめします。

防水スプレーを使用する手順

それでは、実際に防水スプレーを使ったお手入れをしている様子をご紹介していきます。

お手入れ前の靴
こちらはわたしの私物なのですが、購入してから1年半ほど何もお手入れせずに履いていた革靴になります。こちらを使って手順を解説させて頂きます。

ブラッシング

ブラシで埃を落とす
まずは、ブラシで細かな埃や塵、表面の汚れを落とします。

クリーナーで汚れを落とす

革用クリーナーで汚れを落とす
革用クリーナーとポリッシングクロスでさらに表面を綺麗にします。と言っても強く擦ったりすると色落ちの原因になりますので、優しく円を描くようにクリームを塗布してゆきます。上の画像の左側が塗った後、右側が塗る前です。色の深みが戻ってきたのと、カサカサ感が無くなりましたね。クリーナーが乾いたら、クロスで乾拭きします。

使用したクリーナーとクロス

コロニル ポリッシングクロスとレザークリーム
今回使用させて頂いたのは、コロニルの1909レザークリームとポリッシングクロスです。こちらのレザークリームは、汚れを落とすと同時に質感を向上させ、色を活性化させる効果もあるので、少し汚れが気になったりお手入れしたい場合の時も使いやすいです。チューブの先にスポンジが付いていて、そのまま塗布できるようになっていますが、今回は満遍なく塗るためにクロスを使用しました。
コロニル 1909 レザークリーム
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Collonil(コロニル)
コロニル ポリッシングクロス
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Collonil(コロニル)

防水スプレー

防水スプレーを散布
防水スプレーを靴から20cmほど離してふりかけます。近すぎると一箇所にスプレーが溜まってしまってシミの原因になってしまいます。

散布直後

防水スプレーを散布後
防水スプレーをふった直後です。まだ乾いていないのでまだら模様になって見えますが、20分ほど乾かした後に乾拭きすると模様は無くなるのでご安心ください。ちなみに新品の革製品は、防水スプレーを振る、乾かすという工程を3回ほど繰り返してお手入れしてから使うと、無駄な汚れを弾いてエイジングも綺麗になるので、是非やってみて下さいね。

乾燥、乾拭き後

乾燥、乾拭き後
乾かして、クロスで乾拭きした後です。先程よりもまだら模様が薄れて気にならなくなりました。

クリームで仕上げる

クリームを塗布する
最後にクリームで仕上げをします。こちらもクリーナーの時と同じように、強く擦らず優しく撫でるように塗り込んであげてください。

仕上げ後

クリーム塗布後
仕上げのクリームには、コロニルの1909 シュプリームクリームデラックスを使用させて頂きました。こちらは、シーダーウッドオイル、ラノリンなどの天然オイルを配合している最高級の栄養クリームです。バランス良く保革・栄養効果、柔軟性を与え、補色もしてくれます。フッ化炭素も含まれていますので、撥水効果もあります。なので防水スプレーがない場合、こちらを定期的に塗るだけでも、ある程度の汚れから表面を守ってくれます。下の画像の左側が塗る前、右側が塗った後です。色に深みが増しています。
Collonil (コロニル) 1909シュプリームクリームデラックス
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Collonil (コロニル)

塗る前と後の表面の違い

クリームを塗る前と後
上の塗る前と下の塗った後を比べると、細かな掠れ跡なども綺麗に目立たなくなっています。革が潤っている証拠です。塗った後も、仕上げに乾拭きして余分なクリームを拭き取ります。

防水スプレーの順番

「防水スプレーを使うのはクリームを塗った後なのでは?」と思う方もいらっしゃるかもれません。

実は、クリームを塗る前と後、どちらでも構いません。

どちらも正解です。

要は、クリームの効果を重視するか防水スプレーの効果を重視するかということです。

クリームは、革表面に栄養や潤いを与え、革の質感や表面のツヤを保ってくれます。浸透すればするほど、革そのものにとっては良いことです。

防水スプレーは、革を水分や汚れから守りシミなどを防いでくれるので、製品を綺麗な状態で長く使う事が出来ます。

クリームが先

メリット

  • クリームが浸透しやすい
  • スプレーした後のシミが出来にくい

デメリット

  • スプレーの効果が持続しにくい
  • スプレー跡が残りやすい

スプレーが先

メリット

  • 撥水効果が長持ちする
  • スプレーした後、クリームと一緒に余分なスプレーの残留物を拭き取れる

デメリット

  • クリームが浸透しにくい
  • 新品の色の薄い革製品などに使用するとシミになりやすい

.

このように、どちらのメリットを重視するかによって手順は変わります。

わたしは今回、オールウェザーで履くので撥水、防汚効果が欲しいこと、なおかつ色が濃い革なのでスプレーシミが出来ても目立たないことを考えて、スプレーを先に使用しました。

実際コロニルの推奨手順は、『ブラッシング➡︎クリーニング➡︎防水、防汚➡︎栄養クリーム➡︎仕上げ』となっています。

お手入れの順番は、ケア用品ブランドによって推奨されている手順がありますので、それに従って使用するのが一番です。

そして、製品によっても色の薄い革、シミの出来やすい素材などありますので、そちらもよく確認してからお手入れしていただければと思います。

詳しいお手入れの方法や、革用クリームについて書かせていただいている記事もございますので、是非ご覧になってみてくださいね!

『革製品、レザーを綺麗に長く使うためのクリームを使ったお手入れ方法。』

.

長々と沢山書いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

今回は、革製品のお手入れの中の「防水スプレー」についてご説明させていただきました。

少しでもお役に立てば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは👋

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