【お手入れ】アルコール消毒で革にシミができてしまった時の対処法

まだまだ寒い日がつづく2月。体調管理に気をつけて過ごしている方も多いのではないでしょうか。

手洗いうがいはもちろん、コロナが流行しアルコール消毒をする機会が増えましたね。

アルコールで手を消毒した後すぐお財布を触ってしまい、革にシミができてしまった!というお話をよく耳にします。

今回は、アルコールによって革にシミができる原因とシミができてしまった場合の改善方法についてお話します。

革製品にアルコールは絶対にNG!

革製品(合皮を含む)にアルコールが付着すると、様々なリスクを伴います。

アルコールが付着することによって考えられるリスク

革の色落ち

アルコールが革に付着し浸透してしまうと、
塗装を溶かしたり、染料を変質させてしまう可能性があります。
揮発する際に革に含まれた染料や油分も一緒に蒸発してしまう為
色落ちや劣化の原因になります。

コーティングのはがれ

革の表面には色落ち防止のコーティングが施されていますが、
ほとんどのコーティングはアルコールには勝てないそうです。
染料や表面のコーティングが剥がれてしまい、劣化が早まります。

革に凹凸ができる

濡れた部分の革が柔らかくなってふやけてしまい、
形が戻らないまま乾燥して表面がぼこぼこのまま固まってしまいます。

革の油分が抜ける

アルコールは油分を除去する作用があります。
革に必要な油分がなくなると、乾燥が早まり、ひび割れしやすくなります。


2種類の鞣し方の革を使用し、アルコールをつけるとどうなるか検証してみた

検証で使用する2種類の革

実験結果をわかりやすく比較する為に、
タンニン鞣しの牛革とクロム鞣しの牛革を用意しました。

タンニン鞣しとは?

植物性のタンニンを使用して行う鞣し方。
古くからある伝統的な方法で、水溶性の化合物であるタンニンには
皮に含まれる動物性たんぱく質と結合することで収縮させる働きがあります。

クロム鞣しとは?

タンニン鞣しに比べて、クロム鞣しは短期間で仕上がります。
革が柔らかく、伸縮性にも耐水性にも優れている為、
革製品としての加工がしやすいです。

2種類のアルコールを使って検証

私達がよく手の消毒で使っているアルコール液の他に、
空間の除菌消臭スプレーも用意して検証してみることにしました。

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革に2種類のアルコールを垂らした実験結果

革に2種類のアルコールを垂らした実験結果
左:クロム鞣し牛革 右:タンニン鞣し牛革



上側に消毒用アルコール液、下側に空間除菌・消臭スプレーを垂らしてみました。

まずはクロム鞣し牛革から見ていきましょう。

消毒用アルコール液でできたシミは見受けられませんが、
空間除菌・消臭スプレーを垂らした部分が白くなっています。

染み込んでいる様子は見受けられなかったので、
クロスで軽く拭いてみると…

クロス鞣し牛革についた汚れをクロスで落とす



白い汚れを簡単に落とすことができました!

今回の実験では、
クロム鞣し牛革は全くといっていいほど変化がありませんでした。


一方でタンニン鞣し牛革は、
消毒用アルコール液を垂らした部分が濃いシミになり、
空間除菌・消臭スプレーを垂らした部分は若干シミができています。


まだ湿っている状態だったので、
数分間、冷風に当てて乾かしてみました。


2種類のアルコールで検証し、乾かした後の状態


すぐ乾かすことによって、
シミが目立ちやすい明るい色の牛革でも、
ここまで元通りに戻すことができました!

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2種類の革のメリット・デメリット


先程の検証結果からすると、シミが全くできなかったクロム鞣しの方が魅力的に見えるかもしれませんが、
どちらの革にもメリット・デメリットは存在します。

クロム鞣しのメリット・デメリット

<<メリット>>

  • キズが付きにくい
  • 耐水性に優れている
  • お手入れの手間がそれほど必要ない

<<デメリット>>

  • 経年変化(エイジング)しない
  • 金属性のため、人によってアレルギー反応が出る
  • 化学物質なので鼻につくような臭いがすることがある

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タンニン鞣しのメリット・デメリット


<<メリット>
>

  • 植物性の材料を使用しており環境にも人にも優しい
  • ハリ、コシがあり丈夫
  • 経年変化(エイジング)を楽しむことができる

<<デメリット>>

  • キズや汚れが付きやすい
  • 水に弱い
  • 定期的にお手入れする必要がある

 

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完全にシミが残ってしまった場合


先程の検証は、革にアルコールを付けてすぐに乾かした状態でしたが、

数時間放置してしまった場合はシミが残ってしまいます。

ケアクリームを使用するのは絶対にNG


革にシミが残っている状態だと、つい焦ってケアクリームを塗りたくなってしまいますが、
逆にシミを悪化させてしまう原因に。

上からケアクリームを重ねることによって、油分が革に染み込み
アルコールの成分が革の中に留まってしまいます。

水に濡らすのが効果的


①霧吹きなどで水を布に付け、革の表面を軽く擦ります。

②水が足りないと感じる場合は、付ける量を少しずつ足していきましょう。

③全体に水を付け終わったら、風通しの良いところで乾かします。

こうすることで、革の中のアルコール成分と水分が
一緒に革から出ていってくれるので、シミが目立たなくなります。

※革の種類によって効果は異なります。


消毒用アルコール液を使用し、実際に検証してみた結果がこちらです。

消毒用アルコール液を垂らした部分に水を付けた検証結果

下側のアルコール後にケアクリームを塗った部分はシミが残っていますが、
上側は ほとんど元の状態に戻すことができました。

革製品を除菌したい場合はどうすれば良いのか?

どうしても除菌をしたいという方には、
以下の方法が効果的と考えられます。

抗菌効果がある革用クリームでお手入れ

革用の除菌・抗菌ミストを使用する

水で薄めた中性洗剤をタオルに含ませてやさしく拭く

革をアルコール消毒するのがおすすめできない理由のまとめ

今回の検証はいかがだったでしょうか?

革にアルコールが付着すると、

  • 革の色落ち
  • コーティングのはがれ
  • 革の凹凸
  • 革の油分が抜ける

あらゆる劣化の原因に繋がってしまいます。

長く革製品を愛用したい方、
同じ状況で困っている方の参考になれば嬉しいです。

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

ありがとうございました。

 

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